アーノルド・ジョゼフ・トインビーという世界的に有名な歴史家がいました。
「十二、三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる。」と言っています。
神話がない地域は底が浅く、民族の誇りを失わせてしまうようです。敗戦後、日本は神話を教科書で教わっていません。
敗戦で昭和天皇を処刑することもアメリカは考えていたようですが、天皇をなくしてしまうと日本人が数百年に渡って戦争をを起こすだろうと考えたマッカーサは、天皇を処刑することを避け、変わりに日本人の精神をどんどんとゆっくりと弱体化させるように仕向けたようです。そのひとつに、神道や祭祀、神社に関することは教科書から徹底的に排除し、民族の弱体化を狙ったのでした。
この計画はアメリカにとっては見事だったと思います。というのも、神話を全く読まなかった私が神話を読むようになって、こんな素晴らしい神様が日本にいらっしゃったんだ、と知ることになり、また自国に誇りを持つようになり、何かしら自分自身に喝を入れられた感じがし、力強くなった感じがするからです。アーノルド・トインビーの言っていたことが分かります。
もし、日本に古事記を大切にする慣習があれば、ここまで海外からのスピリチュアルブームも国内で広まらなかったと思えるのです。(神道もまた、神道を軸とした新興宗教がたくさん出てきて、変なものも数多く広まってはいたようです。どの時代も同じですね。)
古事記は、全3巻からなり、「日本の建国」「日本人の美しい生き方」「日本語の趣」がしっかりと書かれている書になります。日本最古の日本語で書かれた本を古事記といいます。
2番目に古い本が日本書紀となります。
天武天皇が「日本の建国については、様々な言い伝えが様々な人によって全国に広まっていて、これでは何が正しいかわからなくなってくる。これではちゃんとしたものが伝わらなく国自体もばらばらになるので、ここは一つ、国家としてまとめたい」ということで、公文書としてまとめるように、太安万侶(おおのやすまろ)に頼みました。
全国からたくさんの話をまとめます。稗田阿礼(ひえだのあれ)という人は一度聞いたら絶対に覚えるという抜群に記憶力のいい人でした。そして、稗田阿礼の暗記したものをそのまま書きとっていったのが、太安万侶です。
こういう作業を繰り返し、712年古事記が出来上がりました。
当時は、「古事記」とかいて「ふることふみ」と読んでいました。712年の時点で、古いことが書いてある本、ということになり、712年でもそれよりもさらに古いことが書かれている本・・・なのです。日本の建国は遅くとも3世紀には出来上がっていたようですが、当時、文字がなかったので、建国についての残るものがなく、話しか残っていなかったのです。5世紀ころ文字も出来上がったので、文字が出来上がってやっと記すことができはじめました。
日本書紀は全30巻になります。淡々と書かれた記録文書で、古代中国文字で全て書かれています。正史と言って、国家が編纂した公式な歴史書になります。720年舎人親王という天武天皇の息子によって出来上がりました。基本的に外国に向けて書かれた本になります。
古事記に日本人の美しい生き方が書いてあるって知っていましたか?
それが書いてあるのですよ。例えば、キリスト教では「右の頬を打たれたら左の頬も出せ」という教えがありますよね。実際に出したらどうなるでしょう。今の世の中、コテンパにやられるでしょう。日本の古事記では、海幸彦と山幸彦の兄弟の確執の話の中に「意地悪されたら、たとえ兄弟でもやり返しなさい」と簡単に言うとそのような教えがあります。私も実際に試してみましたが、後者のほうが、人間関係がうまくいき始めたのでした。ここは日本ですから、まず一番に古事記の教えなのかもしれません。
昔、親から「いじめられたらやり返してきなさい!」と怒られたことも、実は素晴らしいアドバイスだったのかもしれませんね。
キリスト教も仏教も素晴らしいと思います。でも、まずは日本最古の本、しかも天皇によって作られた本を、日本人ならば読んでも良いのではないかと思いました。
最初はたくさんの難しい神様のお名前も出てきて頭の中がちんぷんかんぷんになりがちですが、何度も読んでいると、段々と読めてきます。ご興味のある方、ぜひ読まれてみてください。
たくさんの素晴らしい教えに出会うことができるでしょう。