エッセイ

時の止まった部屋

川村 裕美

むかしむかし、ある旅人がいました。

旅人はいつも、後ろを振り返りながら歩いていました。

「あの時、ああすればよかった」

「どうして私は間違えてしまったんだろう」

そう思いながら、何度も何度も、過ぎた日々を見つめていました。


ある日、気がつくと、旅人は小さな部屋の中にいました。

窓のない、薄暗い部屋。

時計の針は止まっていました。

旅人はその部屋から出ようとしましたが、扉は開きませんでした。


どれくらい時間が経ったのかわかりません。

旅人はただ、過去のことを思い出しては、ため息をついていました。


ある時、旅人はふと思いました。

「このままここにいても、何も変わらない」

そして、小さな勇気を出して、扉に手をかけました。

「少しだけでも、前に進んでみよう」

その瞬間、扉がゆっくりと開きました。


外に出ると、道が続いていました。

旅人は恐る恐る、一歩、また一歩と歩き始めました。

すると、道の上に何かがキラリと光っているのが見えました。

小さな石、一輪の花、温かいパン…

誰かが落としていったかのように、道の先々に続いていました。


森の奥で、賢者に出会いました。

「この道に落ちているものは何ですか?」と旅人は尋ねました。

賢者は優しく微笑みました。

「それは神様からの贈り物だよ。前を向いて歩く者にだけ、届くようになっているんだ」


旅人の目から涙がこぼれました。

「私、ずっと後ろばかり見ていました」

賢者はうなずきました。

「だから部屋に閉じ込められていたんだね。でも、もう大丈夫。あなたは扉を開けた。これからは、たくさんの贈り物が届くよ」


賢者は棚から小さな瓶を取り出しました。

「これは、あなただけの魔法の薬。過去に引っ張られそうになった時、一滴飲むといい。前に進む力が湧いてくるよ」

旅人は薬を受け取り、そっと飲みました。

体の奥から、温かい光が広がっていくのを感じました。


旅人は再び歩き始めました。

もう後ろは振り返りませんでした。

道の先に続く、小さな光を見つめながら。


あなたも、時の止まった部屋にいませんか?

扉を開ける勇気、一緒に見つけませんか?

Natural*Gardenで、あなたの物語を一緒に紐解きましょう🌸

ABOUT ME
ひろみ
ひろみ
セラピスト/ブロガー
精神世界を探求・研究し続けてきて21年。退行催眠のセラピスト。また、夢を見てメッセージを受け取ったり、夢を使ってヒーリングを行うこともしている。いつの間にかどこからともなく夢でメッセージが来るようになり、そのメッセージをこのブログで発信中。
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